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人倫道徳・哲学の『易経』

「易」は森羅万象の摂理を網羅しており、宇宙観と人生観を一体とした天人合一化したものです。

私が易(周易・『易経』)に出会ったきっかけは40代の時、仕事で「冷や飯を食う」理不尽な出来事に出遭ったことでした。その出来事があった後、ある中国古典の勉強会で『易経』の地火明夷(不遇対処の道)の卦に出会いました。私が仕事で遭遇している状況にぴったりの卦で、私はその卦に書かれている教えを実行し、その不遇を脱しました。このような経験から、『易経』を学ぶようになりました。

易は悠久の歴史を生き抜いてきた人類の英知の書です。その内容は森羅万象の自然の摂理と変化の理法を私達に教えてくれています。易は中国の最古の時代に古代人が農耕の営みから、自然現象に気付き、そこから自然の摂理を知る方法を解き明かしました。そして、その後、占いの書として生まれ、殷末時代に卦辞が付加され、周の時代に爻辞も付加されて周易と呼ばれる様になりました。その後、諸子百家の思想や儒教の倫理道徳の考え方を付加され、今日の『易経』と呼ばれるようになりました。その根底に流れるものは自然摂理であり、自然哲学です。

 

・最初は単に易と呼ばれ、その後、易は周の時代に周易、そして、宋の時代に『易経』と

 呼ばれるようになりました。易は周易と『易経』の総称名になります。

・周易は、占いと人生哲学を含み、周の時代に大成したので周易と呼びます。

 私は後に、占いの勉強もしたいと思い、周易の看板を掲げておられる占いの先生に師事

 しました。その先生は元ビジネスマンの幹部の方で、安岡正篤先生の本を愛読されてお

 られた先生でした。

・『易経』は儒教の筆頭経書となり、占いと倫理道徳を含み、宋の時代に大成されまし 

 た。

​このコーナーでは哲学・人倫道徳(義理派)で有名な安岡正篤先生と公田連太郎先生を紹介します。

安岡正篤紹介

安岡正篤

安岡正篤先生(1898-1983)は日本の偉大な易学者、​陽明学者、哲学者、思想家であり、素晴らしい人間力のある偉人です。大阪市生まれで東京帝国大学法学部政治学科卒業されています。その後、金鶏学院、日本農士学校を設立され、東洋思想の研究と後進の育成にと務められました。戦後、師友会を設立され財政界のリーダーの啓発・教化に務められ精神的支柱になりました。昭和天皇が玉音放送で発せられた終戦の詔勅の草案作成にかかわられ、また平成の元号の考案者でもありました。人間学を中心として今なお、国民的教育者として私たちの進むべき道を示されています。安岡正篤先生の本を読まれると開眼するものがあると思います。

安岡正篤

​YouTube 安岡正篤記念館より掲載

私が購読した安岡正篤先生の易の著書

 ・『易と人生哲学』一番最初に読んだ易の本です。分かりやすく

   易を解説して下さっています。

 ・『易とは何か 易と健康(上)』二冊目に読んだ本で、易を

   更に深める本となりました。

 ・『易学入門』易を本格的に学ぼうと購入した本です。

​易(『易経』)とは何か

易とは何か

⑴自然と共に生きていこうとする共生の精神

 易には「天人地の三才観」の思想があり、天と地の間に万物(人)は生かされ、天

 地自然と人間が一体となって共に生きていこうとする「共生の精神」を我々に伝え

 ようとしています。日本人の心の根底にもこの精神が流れていると思います。あな

 たも私も共に生きていこうという「も」という共生の原点に我々現代人は立ち戻ら

 なければならないと思います。易経はそれを教えてくれてます。

⑵人間の悩みを解決し、幸せに導く書

 人間は悩み多き生物です。多くの欲望をもって人生を歩んでいきます。しかし、

 そこには多くの悩みが発生していきます。まさに人間は「憂患」の生物と言って

 いいでしょう。人生には良い時があれば、悪い時もあります。人生は諺にあ

 「万事塞翁が馬 禍福は糾える縄の如し」ですが、自然の摂理を教えている易

 を学び実践し、良い時を長く、悪い時を短くして人生を歩むことができるので

 す。

⑶易の三義と六義

 易は森羅万象を捉えたもので変易、不易、簡易の三原則の三義と神秘

 発展、治めるを入れて六義(りくぎ)があります。)

 三義

  ①変易(変わる・変える) 1年の季節は刻々と変わる

  ②不易(不変・永遠)   次の年も変わらぬ四季は来る

  ③簡易(シンプリシティー)シンプルである

 六義​(三義+以下)

  ④神秘(神秘的である)

  ⑤伸びる・発展する(天地万物の創造・進化、クリエーション)   

  ⑥治める(人間の道を治める)

⑷太極、陰陽、八卦、六十四卦とは

 易は符牒​(記号)で表現されています。万物の根源、あるいは元気である太極は⚊(又は○、☯)で表現し、そこから動いてできた陰と陽を⚋と⚊で表現します。お互

 いに陰陽は陽と陰を包含します。そして、陰陽記号を三つ重ねると2の3乗、つまり

 8通りの小成卦が出来上がります。これを八卦いいます。この八卦で森羅万象を表

 現しています。

  八卦:☰乾(天)、☱兌(沢)、☲離(火)、☳震(雷)

     ☴巽(風)、☵坎(水)、☶艮(山)、☷坤(地)

 更に、この八卦を上下に重ねると、8×8で六十四卦の大成卦ができることになりま

 す。易はこれを使って活用していきます。

  六十四卦の例:乾為天・䷀ 坤為地・䷁ ~ 水火既済・䷾ 火水未済・䷿

『易経』六十四卦索引表

この64卦の中に自然摂理や人生が包含されています。​​

上卦の八卦と下卦の八卦を組み合わせると64卦の大成卦ができます。一つの卦には6つの変爻(時間の変化)があります。

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公田連太郎

公田連太郎

公田連太郎先生(1874-1963)は明治7年に島根県出雲市に生まれ、幼少から漢籍に親しまれていました。21歳の時に上京し晩年の根元通明に師事され、また、同時期に山岡鉄舟の師である南隠禅師にも師事され、生涯清貧に甘んじて老荘の学に通じ、儒教・仏教の道を歩まれました。昭和37年、朝日新聞社から朝日文化賞を受賞され、財界人や文化人に要請され、自宅を開放されて講義をされました。国訳漢文大成全88巻中の史記など31巻に訳注を施されたほか、易経講話・荘子講話・至道無難禅師集などの訳著があります。

公田連太郎先生の口述本になります。高額ですが分かり易く価値は高いです。

​『易経講和(全五巻)』分かり易く丁寧に説明されている本です。

易の概要

『易経』の概要

『易経』の本質は象の八卦であり、このシンボルをよく理解しておくことが重要です。本来の占いは、六十四卦の卦象をよく理解し、八卦を読み解くことに重きを置いています。そして、英知の書『易経』をより深く理解し、実践に活かす為には、辞の経と伝をよく学ぶ必要があります。

易経   

(言語表現)

 経(本文)

  卦象:卦の形と卦名

  卦辞(彖辞):卦の意と性質を説明し吉凶悔吝を断定する言葉。

  爻辞:卦を構成している爻の意と性質を説明し吉凶悔吝を断定する言葉。

   (易伝・十翼)易経本文の真意を伝える為の解釈伝

    彖伝(上・下):彖辞(卦辞)の解説

    象伝(上下):大象伝と小象伝に分けられる。大象伝は卦辞の解説。道徳的・政

      治的解説。小象伝は爻辞の解説。各爻の意味、位置と他の爻との関係を説

    繋辞伝(上・下)​:易経を哲学的に解説。兆しについても記述。

    文言伝:乾為天と坤為地について説明。

    説卦伝:八卦が象徴する森羅万象について象意を解説

    序卦伝:六十四卦の順序について配列を解説

​    雑卦伝:二つの卦一組として意味を解説。

(八卦で表す。シンボル)

                

◆仕事で冷や飯を食う」理不尽な出来事に遭遇し、『易経』に出会い、その教えを正しく守り、忍耐努力して困難を乗り越えました。

 

◆私が出会った『易経』の三十六番目の卦、「地火明夷」䷣ 離下坤上

 地火明夷 ䷣ 明夷 傷つき損なわれる(不遇対処の道)

 明夷とは明が傷つけられること。外卦(上卦・上部の八卦)は坤・地、内卦(下卦・下部の八卦)は離・火で明るい太陽が大地の下に覆い隠されてしまった象形から、この卦を地火明夷と名付けられた。正論が通じない理不尽な状態。

彖辞(たんじ) 明夷(めいい)は艱貞(かんてい)に利(よろ)し。

※彖辞:卦の意義・性質を説明し、吉凶悔吝(きっきょうかいりん)を断定する言葉。

明夷、つまり、正論が通じない時は、艱難辛苦(かんなんしんく)を耐え忍んで正しい道を守っていくのがよい生き方なのです。私はこの卦を見て、必ず好機がやってくると信じ忍耐努力して困難を乗り越えた経験をしました。

男の修行・山本五十六

男の修行  

  苦しいこともあるだろう

  伝い度(いいたい)こともあるだろう

  不満なこともあるだろう

  腹の立つこともあるだろう

  泣きたいこともあるだろう

  これをぐっとこらえてゆくのが

  男の修行である

                山本五十六

    ソリューション営業の世界そのものと思います。

富士山の日の出
黒岩重人の本

​私に一番フィットした『易経』の本

私に一番フィットした易経の本は、黒岩重人先生が書かれた易経の下記の4冊です。

 ・易を読むために 易学基礎講座 ㈱藤原書店

 ・全釈 易経 上 ㈱藤原書店

 ・全釈 易経 中 ㈱藤原書店

 ・全釈 易経​ 下 ㈱藤原書店

易な現代文で簡潔に書かれていて、私の脳にすっきりと受け入れられた感じがしました。

​ 多読はいけないと言われていますが、著名な先生方の易経の本を読んでいくと自分の頭の中に易経が浸み込んでくように感じます。多分、安岡正篤先生や公田連太郎先生の本を読み続けてきたから​だと思います。相乗効果が現れてきているのではと思っています。

​ 私の易経の学び方は、解らないところは余り深入りしないで流して学んでいます。深入りしすぎると挫折するからです。大事なのは、嫌にならずに毎日何らかの形で易の本に触れる事です。ふと気づいたときに本を開く、何らかの事象に気づいたときに調べるなど毎日、易経に触れることが大事です。そして、易経の教えを実践し振り返る。そうすると解らない事が解ってくるようになってきます。実践と継続は力なりです。​段々と『易経』が好きになってきます。

​黒岩重人(くろいわ・しげと)

1946年長野県生。法政大学文学部卒業。故景嘉師に師事して、易経及び陰陽五行思想を学ぶ。易・陰陽五行に関する諸講座の講師。西東京市にて、「易・陰陽五行の会」講師。「東京新宿易の会」主宰

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